アルコールストーブの耐風性能その2
前回の続きです。
今回はさらに長いです。
前回アルコールストーブの耐風性能には2種類あるとご説明しました。
第1耐風性能の基準が風が吹いても消火しないについては比較的判断し易いと思いますが、
第2耐風性能の基準が風が吹いても加熱できるについては具体的判断が難しいと思います。
誰が判断してもブレを生じさせない第2耐風性能の絶対的な基準として、
エバニューのアルコールストーブEBY249と十字五徳EBY248のセットを想定しています。
比較的入手し易い市販品を基準にしていますので比較実験は簡単に行えます。
比較実験は簡単なのですが耐風性能に優れる十字五徳を装備したアルコールストーブを相手に、
素の状態で戦わないといけないので第2耐風性能をクリアするのは実際かなりハードルが高いです。
アルコールストーブの耐風性能を決める要素には以下の3つがあります。
・炎の数が多いこと
・炎に勢いがあること
・風に強い形状であること
<炎の数が多いこと>
誕生日ケーキのロウソクの炎を吹き消す状況を思い浮かべて頂ければ分かり易いと思います。
1本のロウソクの炎を吹き消すのは簡単ですが、
10本のロウソクの炎を吹き消すのは簡単にはいきません。
20本のロウソクの炎を吹き消すとなるとさらに大変です。
ロウソクの炎はいったん消えると他のローソクの炎で再着火することは困難ですが、
アルコールストーブの場合は消えた炎が他の炎によって再着火しますので、
耐風性能には炎の数(つまりジェット数)の確保が重要となります。
グルーブストーブはその構造上1グルーブにつきアルコールの経路が2か所ありますので、
1グルーブにつき2ジェット相当となります。
つまり16グルーブのグルーブストーブの場合は32ジェットに相当することになります。
サイドバーナーで32ジェットともなると相当なジェット数になります。
グルーブストーブの炎は一体化して見えますが実は小さい炎の集合体なのです。
<炎に勢いがあること>
これは炎に勢いがあれば風に負けずに消えることなく燃え続けることを意味します。
グルーブストーブは低燃費よりに設計していますので、
火力が弱くて炎に勢いがない様に思われがちですが、
実は炎の勢いには相当なものがあります。
五徳併用で使用すると時々勢い余った生アルコールの飛沫が勢い良く飛び出すくらい、
グルーブ構造と活性化アルコールの組み合わせは相性抜群です。
<風に強い形状であること>
これが一番重要な要素です。
五徳併用の場合はポットとアルコールストーブ本体の間に大きな隙間があるので、
風によって炎が流され炎がポットにあたらなくなります。
暖まった空気も風に流されてしまい加熱を継続することができません。
グルーブストーブの場合は直載せであるため、
アルコールストーブ本体とポットが一体化していて、
風にさらされない箇所が常に存在しています。
つまり風が当たっている部分の反対側には必ず炎が消えずに残っています。
側面が傾斜しているシェラカップを使用すると、
風に流された側面の炎も無駄なく利用できます。
実は直載せ方式でないとアルコールストーブ単体での第2耐風性能のクリアは困難です。
ちょ~簡単トルネードストーブは炎の数と炎の勢いは問題ありませんが、
直載せでないために第2耐風性能はクリアできません。
次回は折角なのでグルーブ数と風の関係についてご説明したいと思います。
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