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2013年11月

2013年11月25日 (月)

グルーブ構造の秘密

ちょ~簡単トルネードストーブやグルーブストーブは、
誰が作っても多少作り方を変えても、
等しく同じ燃焼性能を再現することができます。
以前これについて「性能の再現性が安定」と定義しましたが、
その理由を今回明らかにしたいと思います。

<グルーブの隙間の大きさは無関係>
グルーブの隙間が極小になると毛細管現象に優れ、
燃焼性能が向上すると大きな勘違いをされている方がおられる様ですが、
けっしてそんな事はありません。それは完全な誤りです。
グルーブの隙間の大きさによって性能が変わるのであれば、
性能の再現性が安定であることと矛盾してしまいます。
グルーブの隙間の大きさが燃焼性能に影響を与えないことを、
性能の再現性が安定であること自体が如実に証明しています。
従いまして隙間が極小であるグルーブに、
わざわざ別の名前をつける行為は全く意味がありません。

<活性化アルコール主体論>
結露したガラスに湾曲させた下敷きをくっつけると、
下敷きの湾曲度合をどんなに変化させても、
ガラスと下敷きの間に結露した水を保持する場所が常に存在します。
グルーブ構造においてもこれと同様に、
グルーブの隙間の大きさがどうなろうと、
アルコールの通過にちょうど良い場所が常に存在し、
回収した熱によって活性化したアルコールが、
勝手に好きな場所を見つけて突っ走ります。
これを「活性化アルコール主体論」と定義します。
決してグルーブがアルコールを吸い上げる訳ではありません。
グルーブは活性化したアルコールに通り道を提供しているに過ぎません。
構造が主体であるとの誤った先入観があるから、
真実が見えなくなってしまうと思われます。

<設計パラメータは3個>
グルーブストーブの場合は、
グルーブの突出し量とストーブとポットの大きさで、
燃焼性能が決まってしまいます。
ちょ~簡単トルネードストーブの場合も、
ストーブとポットの距離とストーブとポットの大きさで、
燃焼性能が決まってしまいます。
結局、どちらも設計パラメータは3個しかありません。
性能の再現性が安定であるアルコールストーブの、
設計パラメータは3個しかないと思われます。
これから先、性能の再現性が安定なアルコールストーブが、
新たに出現したときの設計パラメータが3個かどうかが非常に楽しみです。

<アルコールの総通過量一定効果>
設計パラメータの3個を決定した場合、
ストーブ本体上部で発生する熱はほぼ一定になります。
グルーブを増やした場合は、
グルーブ1個あたりのアルコールの通過量が減り、
グルーブを減らした場合は、
グルーブ1個あたりのアルコールの通過量が増え、
グルーブの増減があっても、
アルコールの総通過量は一定で変わりません。
これを「アルコールの総通過量一定効果」と定義します。
グルーブ個数を変えてグルーブ1個あたりのアルコール通過量が変化しても、
活性化したアルコールの通過にちょうど良い場所が、
常に存在することを意味しています。

<グルーブ過剰性能論>
グルーブストーブの上部を手に持った状態でアルコールを注入すると、
注入したアルコールが指に滲んで来て、
あれっ冷たい!入れすぎた?こぼした?
と思ったことはありませんか?
これは指の熱によってアルコールが活性化し、
グルーブを経由して上昇し指まで到達するからです。
グルーブ構造は指の熱程度のわずかな熱でも、
アルコールを活性化し上昇させることができる位、
極めて効率の良い構造になっています。
従ってグルーブの隙間が極小でなくても、
必要以上にアルコールは上昇できるのです。
これを「グルーブ過剰性能論」と定義します。
実際には燃焼し切れない程のアルコールが、
ストーブ上部まで到達しています。

<余剰アルコール自主回収機能>
ストーブ本体の上部で燃焼することのできる、
アルコール量は設計パラメータの3個によって決まってしまいます。
それを超えてアルコールの供給が行われると、
異常燃焼つまり暴走する訳ですが、
グルーブ構造を持つアルコールストーブは、
グルーブ構造によって過剰にアルコールが供給されているにも関わらず、
使い方を間違えない限り安定して燃焼します。
これは上部で燃焼できずに余ったアルコールが外部に漏れ出すことなく、
勝手にグルーブを通ってストーブ本体に戻って行くからです。
これを「余剰アルコール自主回収機能」と定義します。
カーボンフェルト等を使った場合も、
余ったアルコールは自主的に回収されています。

今回も文字のみでここまで引っ張ってしまいました。
いつもながら大変申し訳ありません。

2013年11月17日 (日)

Ultra Easy Tornado Stove Desingerの動画

Ultra Easy Tornado Stove Desingerの動画を作ってみました。

YouTube版はこちら。

ニコ動版はこちら。
ちょ~簡単トルネードストーブデザイナ

どうやらYouTubeやニコ動に定住されている方のほとんどは、
このブログをご覧になっておられないご様子なので動画にまとめてみました。
このブログで既にご覧の方には新しい情報は何もありませんのでご注意願います。

絵がこれっぽっちも動かない文字情報のみ、
しかも中味が数式の動画をまたまた作成してしまいました。
全然懲りてなくてすみません。

2013年11月 3日 (日)

ちょ~低重心サイドバーナー

アルコールストーブのちょ~シリーズ第2弾です。
おそらくこれまでで一番低重心のサイドバーナーだと思います。

YouTube版はこちら。

ニコ動版はこちら。
ちょ~低重心サイドバーナー

これまで余って捨てていた部品を有効的に再利用することができました。

動画だとおとなしめですが、燃焼はかなりじゃじゃ馬です。
トップバーナーとしても使えますが、こっちも相当な火力になります。
それでは、お気を付けてお楽しみください。

2013年11月 2日 (土)

ちょ~簡単トルネードストーブの燃焼

Ultra Easy Tornado Stove Desingerを完成させる過程で、
ちょ~簡単トルネードストーブ(以下、当ストーブと略します)の燃焼について、
確認したこと、考察したことをを折角なのでお知らせしたいと思います。
相当長くなりますので覚悟してご覧下さい。

<計算パラメータ>
Ultra Easy Tornado Stove Desingerの設計の計算式では、
計算パラメータは以下の3個しかありません。
・ポットの底の直径
・缶(ストーブ本体)の直径
・クッカー・ポットの底と缶の隙間
じゃあ、他のパラメータは燃焼に影響しないのかと言うと、
その通り燃焼には影響しないとの検証結果となりました。

グルーブ数を変えても、ジェットの大きさを変えても、
ジェットの上下位置(当ストーブはジェットの上下位置も簡単に変えられます)を変えても、
全く燃焼性能に有意差は認められません。
ならばとジェットの向きに手を加えて、
トルネードの状態を変えて(綺麗な渦炎と汚い非渦炎)比較しましたが、
これまた全く燃焼性能に有意差は認められません。
あまりにも何も変わらないので本当に驚きました。

当ストーブの燃焼性能は直径のみに依存します。
ストーブ本体の作り方による燃焼性能への影響はないと判明しましたので、
必要な計算パラメータを3個に限定することができました。

<性能の再現性が安定>
当ストーブは誰が作っても多少作り方を変えても、
等しく同じ燃焼性能を再現することができます。
これを「性能の再現性が安定」と定義することにしました。

ではなぜ性能の再現性が安定なのかと言うと、
それはグルーブ構造が大いに関係しているからですが、
説明するとさらに長くなるので別の機会にしたいと思います。

性能の再現性が安定であることは構造上ほぼ改善の必要がないことを意味します。
性能の再現性が安定でない(作り方を少し変えると燃焼性能がガラリと変わる)なら、
それは円滑な燃焼を妨害する何らかの要因が潜んでいること、
さらになる構造の改善が必要であることを意味しています。
尚、本家グルーブストーブも性能の再現性が安定です。

<舐炎量一定効果>
当ストーブとクッカーの大きさを固定した場合、五徳を低くしても高くしても、
クッカー底を覆う炎の量は一定で変わらない事を確認しました。
これを「舐炎量一定効果」と定義することにしました。
なぜ舐炎量一定効果が発生するかは、今のところ説明できる理屈が見つかりません。
ですが、おかげで設計の計算式が簡単になりました。

<ワイングラス効果>
五徳の高さを変化させた場合、炎は常にワイングラスの様な、
2個の三角錐を頂点同士をくっつけた形を保ちます。
これを「ワイングラス効果」と定義することにしました。
一番くびれた部分をクッカー底に当てようと五徳の高さを調整しても、
必ずそれよりも下の位置にくびれが発生します。
これはクッカー底に反射した炎が広がるため、
どうしても上の部分が大きくなるためです。

<コールドスポット>
当ストーブはとてもじれったい沸騰をします。
クッカーの上部から観察すると、
クッカーの外側が強めに沸騰し、
クッカーの中央に向かって沸騰がどんどん弱くなり、
クッカーの中央ではほとんど沸騰しません。
この傾向は五徳の高さを変えて火力を変化させても変わりません。
つまり当ストーブでは中央にコールドスポットが常に存在します。

中央のコールドスポットの存在理由は簡単です。
クッカー底に当たった炎は点を保つことができず半球状に広がり、
その中央は空気に触れることができないので、
燃えることができず発熱できないからです。
炎を小さくすると中心付近はホットスポットとなりますが、
今度は周辺付近がコールドスポットとなります。
炎を大きくすると周辺付近はホットスポットとなりますが、
今度は中心付近がコールドスポットとなります。

中心付近に炎を当ててもコールドスポットは減らせません。
コールドスポットを小さくするのは至難の業です。

<リング発熱論>
コールドスポットの存在から炎は空気との境界で発熱していることが分かります。
当ストーブの炎は複数のジェットから構成されていますが、
1個の炎塊とみなすことができます。
ワイングラス状の炎塊を水平に切ると、
どの位置で切っても必ずリング状になります。
このリングの外側が空気に触れていますので、
複数のリングが発熱していることになります。
これを「リング発熱論」と定義することにしました。

一番上のクッカーに張り付いたリングがクッカーを直接加熱し、
それ以外のリングがクッカーを輻射熱により間接的に加熱します。
五徳を高くすると間接加熱リングが増えるため火力が増大しますが、
間接加熱リングからの輻射熱は外部へも逃げるため燃費が悪化します。
当ストーブの燃費が悪いのはそのためです。
当ストーブで燃費を考慮すると室内無風であっても風防は必須です。
このときの風防は熱を外部に逃がさない熱隔壁としてのみ意味を持ちます。

<緩沸騰効果>
当ストーブはとてもじれったい沸騰だけでなく沸騰すると火力が低下します。
これは低燃費を狙って五徳を低くした時に顕著となり、
五徳を低くして行くとそのうちフルボッコしなくなります。
これを「緩沸騰効果」と定義することにしました。

クッカーからの帰還熱が増大することにより、
炎が大きくなりくびれがなくなって、
炎の表面積が減り結果としてクッカーに届く熱が減るためです。
この現象を応用し沸騰温度を見越して五徳の高さを決めることも可能です。

<トルネード不要論>
低燃費を狙って設計の計算式の境界条件で、
本ストーブを使用するときトルネードは発生しません。
発生しているかも知れませんが肉眼では確認できません。
そもそも本ストーブの設計の計算式を求める過程で、
トルネードは燃焼性能に影響を与えないこと、
つまりトルネードによる燃焼効率の向上はあり得ないことが判明しています。
従いまして実用的には「トルネード不要論」を唱えます。
ただ鑑賞目的でのトルネードは十分アリだと思いますので、
トルネードの存在自体を否定するものではありません。

図もないまま文章だけでこんなに長くなり本当に申し訳ありません。
ちょ~簡単トルネードストーブは作るのが本当に簡単ですので、
この内容がウソかどうかはご自分で確認して頂ければすぐ分かります。

ご質問・ご要望・ご反論・ご感想、お気楽に書き込んでください。

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